冬の気配を感じられるほど急激に秋が深まりましたね。
秋に入り気温が下がるとフィラリアの投薬を止めてしまう飼い主さんが多いので、今回はフィラリア対策についてお話します。
まずはおさらい「フィラリア」とは
「フィラリア」とは寄生虫の名前です。
フィラリア症は「犬糸状虫症」とも言われ、心臓に白いそうめん様の虫体が寄生します。
その虫体が子虫を産み、その子虫が血管の中を流れ、飛んできた蚊がその子虫を含んだ血液を吸い、ほかの感染していない犬にうつす病気です。
フィラリアは犬の病気として有名ですが、猫にも(フェレットにも人間にも)感染することがあります。
猫がフィラリアに寄生されてもほとんど症状が見られないこともありますが、苦しそうな咳や呼吸困難、嘔吐といった症状が見られたり、ごく稀ですが突然死することもあります。
猫の場合、寄生するフィラリアの数が非常に少ないため、検査では発見できないケースも多くあります。診断が難しく、予防が何より大切といえます。
予防法は?
フィラリアを媒介する蚊に刺されないことが最も重要です。
蚊は気温15度~30度で活動が活発になると言われています。いわば今の季節はまだまだ要注意です。虫除け対策も継続しましょう。
犬も猫も室内飼いの場合でも蚊に刺される可能性がないとは言い切れません。薬を投与することが望ましいでしょう。
毎年、投薬を始める時期には動物病院へ行って血液検査を行ってください。
フィラリアに感染している動物に薬を投与すると重大な問題になることもありますから、安心して投与するためにも必ず血液検査を行いましょう。
いま投薬を止めてはいけない理由を知っておいて頂きたいのは、フィラリアに対する薬は「予防薬」ではなく「駆虫薬」「駆除薬」であるということ。
蚊を最後に見かけてから、プラス1ケ月または2ケ月は服用させると言われています。
関東では11月くらいまで、気温の高い地域では12月くらいまで薬を続けることをおすすめします。
薬を服用すると、小さいフィラリアや未成熟のフィラリア(ミクロフィラリア)を殺す作用があり、その時点で駆虫しています。
たとえば9月1日に内服すると、1ヶ月前の投薬日以降からの感染を無かったことにします。
薬を飲んだ翌日には、薬は代謝・分解されてしまい体内には残っていないので、投薬した日以降に感染した分は次の投薬で駆虫し無効にできるということです。
蚊が居なくなってから、プラス1ケ月または2ケ月後まで服用するのはそのためです。
※蚊の活動期間および投薬期間は地域によって異なるので、かかりつけの動物病院の指示に従うようにしましょう。
南に行くと蚊の発生時期も長くなりますので、旅行へ行く際には獣医師に相談することをおすすめします。
「薬の投与」というと、飼い主さんの多くは毛嫌いしてしまい、「蚊が居なくなったんだから内服薬の服用は止めたい」と思ってしまうのも当然です。
ただ、以上の理由で、蚊が居なくなった時期のプラス2ケ月(プラス2回分)、愛犬愛猫に薬を与えることが重要なことを覚えておいてください。
感染した場合の症状
フィラリア(犬糸状虫)は蚊の媒介によってのみ感染しますが、媒介する蚊の主なものは アカイエカ、 ヒトスジシマカなどよく見るごく普通の種類です。
犬が感染した場合は、毛づやが悪くなる、咳、腹部が膨らむなどの症状がみられます。
重篤になると、呼吸が苦しくなったり、心臓が苦しくなったり、血尿がでます。
深刻な症状が出るより前に、愛犬の様子が普段と違うと思ったら、すぐに動物病院へ!
緊急事態宣言も解除され、気候が良くお出かけの機会が増える秋こそ、虫刺されには十分注意してあげましょう。
全日本動物専門協会(SAE)
ペット災害危機管理士・ペット介護士 伊藤